ベトナム市場で成功した日本企業とは?大手ブランドの事例と学べる教訓

日本企業はベトナムでどのように成功したのか?大手ブランドの事例から学ぶ

みなさん、こんにちは!ベトナム市場を調べていると、ついついワクワクしてしまいます。
「ベトナムって若い人が多くて、経済も元気だし、これから伸びる市場だよね!」と誰もが口にしますが、実際に日本企業はどのように進出し、どんな成果を上げているのでしょうか?

私たち学生記者チームが調べたところ、すでにいくつもの有名ブランドがベトナムで成功を収めていました。その事例をたどることで、日本企業がどうやって現地に根付いていったのか、そしてこれから挑戦する企業にとってどんなヒントがあるのかを探ってみました。


🍜 1. イオンモール ― 「買い物=エンタメ」に変えた存在感

ベトナムの大都市、ホーチミンやハノイを歩くと、巨大なイオンモールを見かけます。週末になると、若いカップルや家族連れでいっぱい!「ショッピング=生活必需品を買う場所」という概念を、「ショッピング=娯楽や体験」に変えたのがイオンです。

イオンは単に日本の商品を並べるのではなく、現地の嗜好に合わせて店舗をカスタマイズしました。フードコートではベトナム料理も豊富に揃え、テナントには韓国ブランドやローカルショップも入居。つまり、日本式の“おもてなし”と、現地ニーズのミックス戦略が大成功のカギになったのです。

🚗 2. ホンダ ― バイク王国での圧倒的シェア

ベトナムといえば「バイクの国」。道を走ると無数のバイクが並びます。その中で圧倒的シェアを誇るのがホンダです。

ホンダは1990年代から現地生産を開始し、「ベトナム人の生活に密着する足」としての地位を確立しました。価格帯も幅広く、学生向けの手頃なモデルから、若者に人気のスポーティーなスクーターまで提供。さらに、アフターサービス網を全国に張り巡らせ、信頼感を積み重ねました。

結果として、「バイク=ホンダ」というイメージが強固に根付き、まさに国民的ブランドとなっています。

🍺 3. サッポロビール ― 「日本の味」を現地生産で広げる

ビール好きのベトナム人に人気なのが「サッポロ」。2011年に現地工場を立ち上げて以来、“日本の味”をそのまま現地に届けることに成功しました。

ベトナムではビール市場の競争が激しく、サイゴンビールや333などローカルブランドが強いです。しかしサッポロは、高品質・プレミアム感を武器に中間層・富裕層にアピール。特に都市部の若者に「ちょっと贅沢な夜を楽しむならサッポロ」というブランドイメージを作り出しました。

🏠 4. パナソニック ― 家電で「信頼」を勝ち取る

ベトナム家庭で長く愛されているのがパナソニックの家電製品です。特に扇風機や冷蔵庫、洗濯機といった生活必需品では高いシェアを誇っています。

成功の理由は、耐久性とアフターサービス。現地の気候や生活スタイルに合わせて製品を改良し、故障した時の修理体制もしっかり整備しました。日本らしい「長持ちする品質」が現地で高く評価され、「パナソニックなら安心」という信頼を築いたのです。

✈️ 5. ANA(全日本空輸) ― 観光とビジネスをつなぐ翼

近年、観光客やビジネスマンの往来が増える中、ANAはハノイやホーチミンを結ぶ直行便を拡大しています。単に「航空便を飛ばす」だけでなく、日越の交流を支える架け橋としてブランドを浸透させてきました。

機内食やサービスに日本らしさを残しつつ、現地客層に合わせた工夫もしています。たとえばベトナム人乗客向けのプロモーションや現地言語対応など、小さな努力が大きな信頼につながっています。


🔍 成功事例から学べる3つのポイント

こうした日本企業の成功ストーリーから、共通するポイントが見えてきます。

  1. 現地化と日本品質のバランス
    → 日本の強みを押し出しつつ、現地文化やニーズに柔軟に対応。

  2. 長期的な視点でのブランド構築
    → 短期的な利益より、信頼を積み上げる姿勢が市場定着のカギ。

  3. サービス体制の整備
    → アフターサービスやサポート網を充実させ、安心感を与える。

これらは「どの業種でも応用できる普遍的な教訓」と言えるでしょう。


ベトナム市場で成功している日本企業は、単なる輸出や販売にとどまらず、「現地に根ざした存在」として進化しています。イオンは生活文化を変え、ホンダは国民の足となり、サッポロはライフスタイルを彩り、パナソニックは家庭の信頼を得て、ANAは交流の翼となりました。

これらの事例から分かるのは、ベトナム市場は挑戦の場であると同時に、大きなチャンスに満ちた場所だということです。そして、日本企業が持つ「品質・誠実さ・サービス精神」は、ベトナム人にもしっかり響いているのです。

これから新しく進出する企業も、この成功事例に学びながら、自分たちらしいアプローチで市場に挑んでいくことが期待されます。

なぜベトナムは「第二の工場」なのか|中国依存からのサプライチェーン移転

なぜベトナムは「第二の工場」と呼ばれるのか ― 中国に続くサプライチェーン移転の現実

ここ十数年、世界の製造業は大きな変革を経験しています。中国が「世界の工場」と呼ばれた時代は今も続いていますが、その独占的な地位は少しずつ変化しつつあります。欧米や日本の多国籍企業は、中国に依存するリスクを減らすため、新たな拠点を模索し始めました。その中で最も注目されている国の一つがベトナムです。

私自身、これまでヨーロッパやアメリカの製造業企業がベトナムに進出する際のコンサルティングに長年携わってきました。その経験から見ても、ベトナムは確実に「中国に続く第二の工場」としての地位を確立しつつあります。本稿では、その背景と今後の展望を整理します。

👥 1. 中国依存からの脱却 ― 「チャイナ・プラス・ワン」戦略

2000年代から2010年代にかけて、中国は世界の製造拠点として圧倒的な地位を築きました。人口の多さ、低賃金、巨大な国内市場、整備されたインフラなど、条件が揃っていたからです。しかし現在、多くの企業が「中国だけに依存するのは危険だ」と認識するようになっています。

その背景にはいくつかの要因があります。

  • 人件費の上昇:沿海部の工業地帯では、すでに賃金水準が東南アジア諸国を大きく上回っています。

  • 米中貿易摩擦:追加関税や輸出規制が長期化し、企業活動に直接的な負担を与えています。

  • 地政学リスク:台湾問題や国際関係の不安定さも、企業がリスク分散を考える理由の一つです。

そこで登場したのが「チャイナ・プラス・ワン」戦略です。これは、中国に拠点を持ちつつも、生産の一部を他国に移すことでリスクを分散する考え方です。そして最有力の候補地としてベトナムが浮上しました。

💰 2. ベトナムの人件費と労働力の魅力

ベトナムの平均賃金は依然として中国より低く、特に製造業では大きな魅力となっています。ホーチミンやハノイの都市部でも賃金は上昇していますが、それでも中国の広東省や江蘇省に比べるとコスト競争力があります。

さらに重要なのは、労働力の質です。ベトナムの若年層は教育水準が比較的高く、技能習得も早い傾向にあります。欧米企業の現場をサポートしてきた中で感じるのは、作業の正確さと改善意欲の高さです。工場の現場で「なぜこうするのか」と問いかけると、理解しようとする姿勢が強く、長期的には自動化や新技術の導入にも適応できる柔軟性があります。

他のASEAN諸国と比較しても、ベトナムの労働市場は安定しており、政治的混乱が少ないこともプラスに働いています。

📦 3. サプライチェーン移転を後押しするFTAと地理的優位性

欧州やアメリカの企業にとって、ベトナムの大きな魅力の一つは自由貿易協定(FTA)です。

  • EUとのEVFTA

  • 日本を含むCPTPP

  • アジア太平洋全体をカバーするRCEP

これらの協定によって、ベトナムで生産された製品は関税面で大きな優遇を受け、欧州やアメリカ市場に有利な条件で輸出できます。実際、欧州企業がベトナムを拠点に「第三国向け輸出基地」として活用するケースは年々増えています。

地理的にも、ベトナムは中国南部と国境を接しており、陸路・海路・空路すべてでアクセスが良好です。アジア全域をつなぐロジスティック拠点としての潜在力は非常に大きいといえます。

🌏 4. インフラ整備と産業集積の進展

10年前、ベトナムの物流インフラは未整備と言われていました。しかし現在、状況は大きく変わっています。南部のカイメップ・ティバイ港は大型コンテナ船に対応でき、北部のハイフォン港も拡張されています。加えて、南部ではロンタイン国際空港の建設が進み、2026年以降はアジアの主要ハブの一つになる見込みです。

さらに、工業団地の開発も加速しています。特に北部のバクニン省やハイズオン省、南部のドンナイ省やビンズオン省では、電子機器や自動車部品、繊維といった産業が集積し、サプライチェーンが形成されています。欧米企業にとっては、部品調達から最終組立までを国内で完結できる環境が整いつつあります。

📈 5. 高成長経済と安定した政治環境

私が欧州企業の経営者と話す中でよく耳にするのは「ベトナムは安心して長期投資ができる国」という言葉です。その理由は二つあります。

一つ目は、経済成長です。ベトナムはここ20年近く、年平均6%前後の成長を維持しており、今後も安定した拡大が予測されています。

二つ目は、政治的安定です。東南アジアの一部諸国が政権交代や社会不安に揺れる中、ベトナムは安定した体制を維持しています。これは企業にとって非常に大きな安心材料です。

また、政府は「グリーン経済」「デジタル経済」を推進しており、再生可能エネルギーやIT分野では外国企業との協力余地が広がっています。日本や欧米の技術が活躍できる場が多く存在します。

🔍 まとめ ― ベトナムを「第二の工場」とする現実性

かつて「世界の工場」と言えば中国を意味しました。しかし今、多くの企業が「第二の工場」としてベトナムを選び始めています。その理由は単にコストの安さではなく、人口動態、労働力の質、FTAによる優遇、地理的条件、インフラ整備、そして安定性と成長性という複合的な強みです。

もちろん課題も存在します。電力供給の安定性、物流コスト、行政手続きの複雑さなどは改善の余地があります。しかし、私の経験から言えるのは、これらの課題は時間と共に解決に向かい、総合的に見ればベトナムは確実に製造業の新たな拠点として成長していくということです。

欧州やアメリカ、日本の企業にとって、ベトナムはもはや「選択肢の一つ」ではなく、「戦略的に欠かせない拠点」となりつつあります。中国に続く第二の工場として、そして将来的には東南アジアにおける重要な生産・輸出基地として、ベトナムの存在感はさらに高まっていくでしょう。