近年、ベトナムはアジアで最も成長が著しい経済の一つとして注目されています。2025年に入り、その市場環境はますます鮮明になり、日本企業にとって大きなビジネスチャンスであると同時に、慎重な準備を要する課題も存在します。
1. 安定した経済基盤
国際機関の予測によると、ベトナムの2025年GDP成長率は6〜6.5%程度を維持し、世界平均を大きく上回る見通しです。平均年齢は約30歳と若く、都市化の進展と中間層の拡大が消費を力強く押し上げています。
物流インフラも改善が進み、ハイフォン港やカイメップ・ティバイ港の拡張、さらにロンタイン国際空港が2025〜26年に稼働予定で、国際貿易のゲートウェイが広がります。
2. 開放的な政策と国際貿易
CPTPP、EVFTA、RCEPといったFTAの実施により、日本からの輸出品も関税優遇を受けやすくなっています。加えて、ベトナム政府は「グリーン経済」「デジタルトランスフォーメーション」「再生可能エネルギー」「先端農業」などを重点分野に掲げ、日本企業の強みを生かせる領域が広がっています。
3. 日本企業にとっての主なビジネスチャンス
-
食品・加工農産物:安全・高品質な輸入品への需要が増大。日本の菓子、健康食品、飲料などに追い風。
-
化粧品・ヘルスケア:都市部の女性や若年層を中心に二桁成長が続く有望市場。
-
産業機械・技術:電機、自動車、電池などの製造業が拡大し、関連機械や部品の需要が高い。
-
物流・貿易支援サービス:貿易量の急増に伴い、国際輸送、コールドチェーン、品質検査などの需要も拡大。
4. 注意すべき課題
一方で、以下のようなハードルも存在します。
-
文化・消費行動の違い:ベトナム消費者は価格志向が強く、ブランド忠誠度は比較的低い。長期的なブランド構築が不可欠。
-
競合環境の激化:韓国、中国、タイの商品が既に強い存在感を持っており、差別化戦略が必要。
-
法制度・行政手続き:改善は進むものの、依然として複雑で外国企業にとって参入障壁となり得る。
-
物流コスト・国内インフラ:地方部では供給網の課題が残り、コスト増要因となる。
5. 2025年の注目トレンド
-
EC・SNSの拡大:TikTok Shop、Shopee、Lazadaが消費の主要チャネルに。
-
若年層による消費主導:Z世代やミレニアル世代が「体験」「サステナビリティ」「ブランドストーリー」を重視。
-
日越協力の深化:外交関係樹立50周年(1973–2023)を契機に、両国関係は一層強化され、経済連携も拡大中。
6. まとめ
ベトナム市場2025年は「易しくもあり、難しくもある」市場です。消費需要と経済開放性は魅力的ですが、競合や文化的課題への対応が欠かせません。十分な市場調査と現地に根ざしたマーケティング戦略、そして信頼できる現地パートナーと組むことで、日本企業は持続的な成功を収めることができるでしょう。