ベトナムと日本の消費者行動を比較|企業が押さえるべきマーケティング戦略

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ベトナムと日本の消費者行動の比較 ― 企業が押さえるべきポイント

国や文化が違えば、消費者の価値観や購買行動も大きく異なります。日本企業がベトナム市場へ進出する際、「日本で成功した商品だからベトナムでも売れるだろう」と考えるのは危険です。実際には、ベトナムと日本の消費者行動には多くの違いがあり、それを理解して戦略に反映させることが成功のカギとなります。

本稿では、日本で長年培ったマーケティング経験を踏まえつつ、ベトナム在住者の視点から両国の消費者行動を比較し、企業が注意すべきポイントを整理します。


👥 1. 年齢構成と購買力

日本は世界でも有数の高齢社会であり、購買の中心は中高年層です。彼らは安定した収入と貯蓄を持ち、**「品質・信頼・安全」**を重視して商品を選びます。

一方、ベトナムは平均年齢が約30歳と非常に若い国です。購買力を伸ばしているのは、都市部に住むミレニアル世代やZ世代。彼らは**「新しい体験・デザイン・ブランドストーリー」**に敏感で、SNSを通じた情報発信にも積極的です。

👉 企業が学ぶべきこと:
日本市場では「安心感」が売りになる一方、ベトナム市場では「トレンド性」や「体験価値」が重視される。

💰 2. 価格に対する感覚

日本の消費者は「品質には相応の価格を支払う」傾向があります。安い商品よりも「コストパフォーマンス」や「長持ちすること」に価値を感じます。

対してベトナムでは、価格に敏感な層が依然として多く存在します。日常品は「できるだけ安く」、しかし特別な体験やブランド品には思い切って支出する傾向があります。たとえば若者は、毎日のランチは安価に抑えても、最新のiPhoneや海外ブランドの化粧品には高額を払うことをいといません。

👉 企業が学ぶべきこと:
二極化する消費行動に合わせて、価格帯を工夫すること。ベトナム市場では「エントリーモデル+プレミアムライン」を併用する戦略が有効。

📱 3. 情報収集と購買チャネル

日本では今でもテレビCMや量販店のチラシが購買行動に影響を与えます。もちろん近年はECサイトやSNSも利用されますが、まだまだ「リアル店舗での確認」が重要視されています。

ベトナムでは、Facebook・TikTok・ZaloといったSNSが圧倒的な購買チャネルです。特にTikTok Shopは若者の間で爆発的に普及しており、「動画で見て、そのまま購入」という流れが定着しています。

👉 企業が学ぶべきこと:
ベトナム市場を攻略するには、SNSとECを融合したデジタル戦略が不可欠。広告費の使い方も、日本のようにテレビよりSNSに比重を置くべき。

🙌 4. ブランドへの忠誠度

日本の消費者は一度信頼したブランドを長く使い続ける傾向があります。例えば「家電はパナソニック」「車はトヨタ」といったロイヤリティが強い。

一方、ベトナムの消費者はブランドスイッチが早い傾向があります。「友達が勧めたから」「インフルエンサーが紹介したから」といった理由で簡単に新しいブランドを試します。そのため、プロモーションや口コミ戦略が極めて重要です。

👉 企業が学ぶべきこと:
ベトナム市場では「ブランドの信頼性」よりも「話題性」「新鮮さ」を常に提供することが成功の条件。

🍻 5. 消費スタイルとライフスタイル

日本では「計画的消費」が一般的です。ボーナス時期に合わせて高額商品を購入したり、長期的に資産を貯めて買い物をする傾向があります。

ベトナムでは「瞬発的な消費」が目立ちます。特に若者は「今楽しみたい」という意識が強く、食事や旅行、ファッションなどに積極的に支出します。その一方で、金融リテラシーがまだ発展途上であり、分割払い・ローンでの購入も一般的です。

👉 企業が学ぶべきこと:
「今すぐ楽しめる体験」や「分割購入のしやすさ」を訴求することで、消費者心理に刺さりやすい。


ベトナムと日本の消費者行動は、同じアジアでも大きく異なります。

  • 日本:品質重視、安心感、長期的なブランド忠誠

  • ベトナム:若さ、トレンド、SNS主導、スピード消費

どちらが優れているという話ではなく、それぞれの文化と経済状況に根ざした行動パターンです。日本企業がベトナム市場で成功するためには、単純に「日本のやり方を持ち込む」のではなく、現地消費者の習慣を理解し、柔軟に戦略を調整する必要があります。

最終的に重要なのは、「現地の声をよく聞き、消費者と一緒にブランドを育てる姿勢」です。これこそが、ベトナムで長期的に愛される企業になるための第一歩だと私は考えます。

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