ベトナム市場進出の主要都市|ハノイ・ホーチミン・ダナン・ハイフォンの特徴と可能性

ベトナム市場進出の主要都市:ハノイ、ホーチミン、ダナン、ハイフォン

近年、ベトナムはアジアの中でも最も注目される市場のひとつとなっています。
日本企業にとって、製造業だけでなく、食品、小売、サービスなど幅広い分野でビジネスチャンスが広がっています。

しかし、単に「ベトナムに進出する」だけでは十分ではありません。
成功の鍵は、「どの都市を拠点にするか」を正しく選ぶことにあります。

本記事では、これまで多くの日本企業のベトナム市場展開を支援してきた私の経験をもとに、ハノイ、ホーチミン、ダナン、ハイフォンの4都市について、それぞれの特徴と可能性を分析します。

1. ハノイ:政治・文化の中心であり、安定した消費市場

ハノイはベトナムの首都であり、政治・行政・文化の中心地です。
政府機関、大使館、国際機関が集中し、北部地域全体に大きな影響力を持っています。

消費傾向として、ハノイの人々は安定と信頼を重視し、ブランドへの忠誠心が高いと言われています。流行に流されにくく、品質の良い商品には高い価格を支払う傾向があります。

日本企業にとって、これは大きなチャンスです。特に「耐久性」「安全性」「品質」を強みとする日本製品は、ハノイ市場との相性が非常に良いといえます。

有望分野:

  • 輸入食品(オーガニック・健康志向の商品など)

  • 教育・日本語関連事業

  • 高品質サービス(美容・健康・高級飲食)

  • 家電・生活用品

ただし、ハノイでは行政手続きや不動産コストが比較的高いため、現地事情に詳しいパートナーと連携することが成功の鍵となります。

2. ホーチミン市:ベトナム最大の経済都市であり、成長の中心

ホーチミン市(旧サイゴン)は、ベトナム経済の中心であり、最も活気のある都市です。
新しいトレンドやビジネスモデルは、常にこの街から始まります。

ホーチミンの人々は新しいもの好きで柔軟、行動が早いという特徴があります。
体験や利便性を重視し、良いサービスには積極的にお金を使います。

そのため、日本企業が新製品や新サービスを試す拠点として最適です。

ホーチミン市のメリット:

  • ベトナム最大の人口(約1,000万人)

  • 一人当たり所得が国内トップ

  • スタートアップやEC、物流の発展が著しい

  • 多様な販売代理店や流通パートナーが存在

実際、AEON、FamilyMart、Sushi Hokkaido Sachiなど、多くの日本ブランドはホーチミンから市場展開を始めています。

ただし、競争が非常に激しいため、マーケティング戦略のローカライズが重要です。
「日本品質」だけでなく、ベトナムの若者に共感されるストーリー性を組み合わせることでブランドが浸透しやすくなります。

3. ダナン:バランスの取れた未来都市、成長とコストの両立

「住みやすい都市」として有名なダナンは、清潔で整備された街並みと穏やかな気候が魅力です。
北と南の中間に位置し、港湾と空港を備えた中部地域のハブ都市でもあります。

製造業・観光業・IT産業がバランスよく発展しており、投資コストを抑えながら成長を見込める地域として注目されています。

近年、ダナンには「日本工業団地(Japanese Industrial Park)」も設立され、多くの中小企業が進出しています。

有望分野:

  • 観光・ホテル・日本食レストラン

  • 土産物・加工食品・化粧品

  • ITアウトソーシング・ソフトウェア開発

  • 軽工業・物流センター

市政府は日本企業の誘致に非常に積極的で、行政サポートも充実しています。
将来的には「ベトナムの福岡」とも呼ばれる存在になるでしょう。

4. ハイフォン:北部の港湾都市、産業と物流の要

ハイフォンは、ハノイと並ぶ北部の主要都市であり、産業・物流の中心地です。
古くから港町として発展し、現在は深海港「ラックフェン港」や高速道路の整備により、経済成長が加速しています。

ハイフォンの強み:

  • 近代的な港湾インフラ

  • 大規模工業団地(VSIP、Tràng Duệ、Đình Vũ–Cát Hảiなど)

  • ハノイ・クアンニンへのアクセスが良好

  • 既に多くの日本企業が進出(パナソニック、京セラ、豊田合成など)

また、近年は中間層が拡大し、小売・教育・サービス分野にもチャンスが広がっています。
港湾都市としての強みを活かし、輸出拠点や流通センターの設立にも適しています。

実践的なアドバイス

これまで日本企業と共に市場開拓を行ってきた経験から、いくつかのポイントをお伝えします。

  1. ベトナムを一つの市場と考えない。
     地域ごとに文化も消費行動も異なります。ハノイは「信頼」、ホーチミンは「スピード」、ダナンは「品質」、ハイフォンは「実直さ」を重視します。

  2. 小さく始めて確実に広げる。
     テスト販売やパートナーシップから始め、データを蓄積してから本格展開する方がリスクを抑えられます。

  3. 「日本的な価値観」と「ベトナム的な柔軟性」の融合。
     品質の高さに加え、親しみやすさを演出することでブランドが受け入れられやすくなります。

  4. 信頼できるローカルパートナーの選定。
     行政手続きや文化的背景を理解している現地パートナーと協力することで、スムーズな事業展開が可能です。

ベトナムは若く、活気に満ちた成長市場です。
しかし、進出の成否を分けるのは「スピード」ではなく「理解の深さ」です。

ハノイ、ホーチミン、ダナン、ハイフォン——
それぞれに異なる文化と市場構造があり、企業の規模や業種によって最適な都市も変わります。

一歩ずつ現地を理解し、信頼関係を築きながら拡大していくことが、長期的な成功への最短ルートです。

スタートアゲイン株式会社では、日本企業のベトナム進出を市場調査・パートナー紹介・マーケティング支援の三方向からサポートしています。
地域ごとの特性を理解し、貴社に最適な進出戦略を共に構築してまいります。